4. 臨海都市づくりにおける提案−海からの視点−
阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて、大阪湾沿岸域の臨海各都市において防災を主眼においた新しい街づくりの計画が進行していると聞く。防災、災害救援に対する海からの視点を教訓の中に付加するならば、?船艇の持つ多様な機能・能力の利活用、?港湾を初めとする臨海部、水際線の海陸の結節点のフェイルセーフ、冗長性の確保、?船艇の活用を考慮に入れた危機管理システムの構築、?海、船、港湾に対する認識の定着、および?これらの全てを包含した体制、インフラストラクチャー、都市計画の策定、であろう。この中で、?に関しては平生から市民が海や、船に親しむ場や機会の提供、既にかなり深刻な状態に陥っている大阪湾陸域・海域の環境に十分な配慮が必要である。以上の点を考慮しつつ、日本都市計画学会関西支部において策定された新しい街づくり計画増を参考にして作成された、海からの視点に基づく新しい街づくりのイメージをFig.3に示す。
Fig.3 An image of urban planning from the viewpoint of the sea
以下に海からの視点を基本とする場合の配慮について簡単に述べる。
(1)防災に対する配慮
自然災害を100%防御することは不可能である。災害発生に際して、その被害を最小限にくい止めるための配慮として、大都市内および沿岸部を縦横に走る人流。物流幹線である高規格道路を都市の後背部および前面の海底部に配置する。海底部に配置される道路を共同溝とすれば、供給・処理機能、潜堤として波の運動エネルギーの水際線への侵入を防御する機能を持たせると同時に、災害時の高架橋、道路の倒壊による人的、物質的損失を避ける、都市空間の大気環境の改善等の配慮が可能である。
物流拠点としての港湾においては、一部は耐震岸壁化しておくことが望まれる。しかし、市民に水際線を解放し、沿岸域生態系に配慮するため、杭打ち桟橋、浮き桟橋構造が望まれる。
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